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上野 国立科学博物館で開催中の「太古の哺乳類展」に行きました。

…恐竜に比べると、いまいちマイナーな太古の哺乳類たち。世界的にも恐竜に比べて、ずっと研究者が少ないそうです。
大繁栄、そして絶滅…というドラマを持つ恐竜にくらべ、現代にも種をつなぐ哺乳類がインパクトが弱いのは仕方がありません。

しかしこの特別展、恐竜博に比べればずっと空いているものの来場者は10万人を突破し、さらに増え続けている人気とのこと。古代哺乳類大好きな自分も、遅ればせながら8月28日、足を運ぶことができましたのでレポートします(若干アレンジ入っているので、展示と関係ない内容もあります)。


特別展最初のチャプターは、中生代、原始的な哺乳類の時代。

哺乳類が現れたのは、恐竜とほぼ同じ三畳紀。
しかし、恐竜類が地球の覇者となります。
哺乳類は生存共存に破れ、追いやられることになります。

恐竜の祖先は、あらゆる面で哺乳類の祖先よりも優れていました。
例えば、直立二足で効率的に素早く動けること。当時の哺乳類の祖先はガニマタ走行で、恐竜の祖先ほど素早く動くことができなかったのです。
また恐竜は、管状の肺と、呼吸補助器官である気嚢を持つことで、呼吸の際の空気交換が非常に効率的に行えました。恐竜の直系である鳥が、空気の薄い上空で羽ばたけるのも、この呼吸システムのおかげですね。
また古生代は現代よりも酸素濃度が低かったので、呼吸システムの優れた恐竜類に、より大きなアドバンテージがあったわけです。
そのようなわけで哺乳類は、夜行性かつ小型となり、恐竜から身を隠すように細々と生きることを強いられたのです。

最初のコーナーは、そんな暗黒時代を生きていた哺乳類たちの化石です。
しかし、姿は一見小型で地味だが、その中で着実に進化を繰り返していました。

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ハクサノドンの化石
日本の中生代哺乳類としてはもっとも原始的なグループに属す。
恐竜絶滅と同じ時代に滅び去ったグループです。


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ササヤマミロス
昨年発見された中生代最大の哺乳類で「Sasayamamylos kawaii」という、その名前がマスコミでも話題になりました。「kawaii」は、兵庫県立人と自然の博物館の名誉館長の河合さんにちなんでつけられた名前だそうですが。
私たち人間やイヌやウシと同じ、有胎盤類の初期の種類です。


次のチャプター以降、恐竜絶滅後の新生代になります。


恐竜絶滅後、その空いた穴に哺乳類が進出し、大型化し昼間に進出する時代です。
「恐竜に見劣りした」と前述した哺乳類でしたが、長い間の下積み時代…小型・夜行性の時代にゆっくりと、しかし着実に進化していました。
恐竜絶滅という運と、長い夜行性生活で獲得した、胎盤、知能、高度な形状の歯という実力を兼ね備えて、地球の覇者の道を歩んでいったのでした。

新生代の最初「暁新世(6600~5600万年前)」の哺乳類の化石は、日本では見つかっていないため、この時代の生き物は展示されていません。
この時代には、恐竜から進化した鳥が二次的に地上に適応した、巨大な肉食性の鳥「恐鳥類」が哺乳類の前にまたも立ちはだかりました。

まさに恐竜の残光というべき恐鳥類。哺乳類を餌食にする強力な捕食者でした。
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注:この画像は手持ちのフィギュアで作ったイメージ画です。展示にはありません。

しかし、その後登場する肉食性哺乳類との競合に破れ、地球から姿を消してゆきます。
一度空を飛ぶために軽量になったボディ、一度翼に進化し役に立たなくなり退化した前足、退化してしまった牙など、空への適応が残った中途半端な生き物で、地上戦に特化した肉食哺乳類には太刀打ちできなかったのです。


次のチャプターは、始新世(5600~3390万年前)。

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トロゴッスス

裂歯目に属する草食性の動物。熊本県天草市周辺に分布する地層から見つかった、約5000万年前の化石。
暁新世から始新世にかけては、この裂歯目や、汎歯類など、現代では聞きなれない原始的な哺乳類が多数繁栄していましたが、より進歩した新しい哺乳類の出現により次第に衰えて始新世が終わるころにはほとんど滅んでしまいます。

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クシロムカシバク

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ザイサンアミノドン

より進歩したグループ…そのひとつである、現代にも種をつなぐ、奇蹄目。
ウマ、バク、サイなどの仲間です。

漸新世(3400~2,300万年前)を繁栄の頂点とし、史上最大の陸生哺乳類、インドリコテリウム(肩までの高さが、キリンの頭の高さと同じくらい)を輩出するなど栄華を極めました。

しかし、中新世(2300~500万年前)中期以降は衰退し、化石種現生種合わせて、17科240以上の属が確認されていますが、現生種は3科6属が生き残っているだけです。

これは中新世以降の寒冷化の影響もあるのですが、ウシの仲間などの反芻類に押されて衰退したということが挙げられます。反芻類は、反芻システムにより効率のよい消化吸収を行うことで、奇蹄類より優位な植物食動物となったのです。


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原始的な反芻類 ノトメリクス


その2では、見栄えのする全身骨格模型の巨大動物たちを紹介します。